地球の大気は地殻から放出されるガス(気体)や自然環境が産出している酸素などで構成されています。特に地殻から放出されるガスには太陽光と同じように、カラダに刺激を与えることで自然治癒を活性する成分が含まれています。
呼吸による酸素吸入同様に、自然の大気を吸入することで自然治癒としての大気浴が行えます。
呼吸
呼吸には酸素吸入以外にも、副交感神経を優位にして自律神経のバランスを整えたり、地殻の成分を吸入して細胞に刺激を与えて活性化させる効果があります。
呼吸は文字の通り吐き出す事から始まり、お腹を使った吸入を行います。吐くときは鼻ないしは口で行ないますが、吸入は鼻で行います。哺乳類で口から酸素吸入をするのは人だけと言われています。運動時には口呼吸も併用して効率の良いエネルギー代謝を行いますが、日常では本来カラダに適した鼻呼吸を心がけましょう。
吸浴
温泉の楽しみ方としてお湯に浸かる入浴が肌組織、温泉を飲む飲泉が消化器系の器官に主に作用するのに対して、温泉成分を鼻から吸入する吸浴は温泉成分が肺から血流に乗って全身に行き渡るため、カラダの全体に作用することが期待できます。
吸浴の作法としては温泉成分を鼻で吸うことです。腹式呼吸で深く鼻で吸うことでリラックスでき、安定した血流がカラダの隅々に温泉成分を運んでくれます。
温泉成分のラドン
温泉成分ラドンはお湯に溶けにくく、安定した原子構造なのでほとんど化学反応しません。カラダに作用するのはラドンから放出されるアルファ粒子です。アルファ粒子はラドンとは逆に非常に不安定な原子構造をしており、活発な移動とイオン化を起こしやすい物質です。そのためアルファ粒子の放出元のラドンをなるたけ拡散しないようにして、速やかに吸入することが大事です。
ラドン吸浴
湯船ではラドンはお湯に溶けずに浴面まで浮き上げり放出されます。ラドンは酸素よりも重い気体なので浴面の上を漂って床に流れ落ちます。湯船でラドン吸浴する場合は浴面に鼻を近づけてラドン吸浴します。
空間でラドン吸浴する場合はラドンがなるたけ拡散しないように速やかに吸入することが大事です。鉱石から放出されるラドンを直接吸浴するのは難しいので、密閉された管やマスクで鼻のそばまで放出されたラドンを運んで下さい。マスクを使ったラドン吸浴は、熱・湿気・水圧による負荷がないので体力が落ちている時でも比較的長時間実践いただけます。
ラドン吸浴の効能
ラドン吸浴の効能は痛風および尿酸素質、リウマチ性疾患、慢性気管支炎、気管支喘息とされています。ただ万病の湯とも言われ、治療の現場ではその他の症状の緩和目的にも利用されています。
ラドンは生体反応を起こさない安定した元素です。効能に見える作用はラドンがアルファ崩壊して放出されるアルファ粒子によります。アルファ粒子はとても強い電離作用を持ち、カラダの中で細胞を傷つけることで、修復機能としての免疫機能を活性させます。「細胞を傷つける」と言うとネガティブな印象も受けるかもしれませんが、ラドンによるアルファ崩壊は半減期を3.824日とする中で、20分後には半分が、3時間後にはほぼすべてが肺からの呼気や尿から体外に排出されます。アルファ粒子による作用が起こるのは吸入したラドンの僅かな量となります。そのため濃度の高いラドンを吸入した方が体感は高くなる傾向があります。
アルファ粒子によって活性した免疫機能は傷ついた細胞以外にもカラダの中の不調箇所を改善していきます。治療機関の報告としてオーストリアのラドン療法ヘルスセンターであるガシュタイン・ハイルストレンによって症例が報告されています。
腹式呼吸
口呼吸
吸浴
気管支の炎症を抑えます。
痰のキレを良くする。
気道の粘膜を刺激して痰を溶かす。
毛細血管を広げて血行を促進する。
温泉成分のラドンは活性酸素を除去する抗酸化機能を高めます。鎮静作用があり痛みを和らげます。
ラドン
放射能泉はキュリー夫妻によって発見された放射性物質を名前の由来としています。放射性物質は一定期間で放射性崩壊をして他の元素に変化する性質を持つ物質です。ラドン(ラドン222)は半減期1600万年のラジウム(ラジウム226)が崩壊して放出されたもので、ラドンの半減期は3.824日です※1。ラドンは元素の周期表でわかるように非常に安定した、つまり原子の数が安定数を持った元素※2です。
キュリー夫妻の発見後(1900年以降)に放射性物質が発する放射線が生物組織に影響を与える事から治療法に取り入れる動きがあります。ここから西洋医療の放射線治療が始まるのですが、この放射性物質は鉱石を化学薬品を使ったり、人工的な環境で生成しています。温泉成分のラドンは自然界で産出された放射性物質です。自然治癒では自然界で産出されたラドンを利用します。
日本ではキュリー夫妻の発見以前に武田信玄(1521年12月1日-1573年4月12日)が放射能泉によって戦いの傷を癒してたと考えられており、武田信玄の隠し湯として伝承されている山梨の増富温泉は新潟県の村杉温泉、鳥取の三朝温泉と並ぶ三大ラジウム泉と呼ばれています。自然治癒の本質は自然環境との融合です。日本の温泉の歴史には自然治癒の仕組みが隠されています。
半減期は放射性崩壊によってその内の半分が変化するまでにかかる時間を言います。
崩壊時期の長いラジウムが温泉の中でちょうど崩壊時期を迎えラドンになると言うより、地中で崩壊したラドンが湧出する方が多いと考えられています。そのため崩壊時期の短いラドンが地上に到達するためには浅い地層にウラン・トリウムが含まれている鉱石が多い地域に温泉が出来やすいことになります。
化学反応は原子の外殻上の不安定な電子が放出されたり、他の電子を獲得するイオン化によって起こります。第18族元素に分類される元素は最外殻電子が閉殻となっている(安定した電子数に達している)ため化学反応は起こりにくい。近年では第1周期元素のヘリウムを筆頭として周期が進むにつれて安定は弱くなる事がわかってきました。ただカラダの中の環境では反応(生体反応)は極めて起こりにくく、半減期の3.824日を待たずに生体反応によって呼気や尿などでほとんど体外に排出されます。
アルファ粒子(α粒子)
アルファ粒子はカラダの外からは作用しません、その強い電離作用によってカラダの中に透過する前に別の物質と電離作用を起こしてしまいます。カラダの中ではアルファ粒子はその強い電離作用で細胞から電子を奪います。電子を奪われた細胞は傷つき、免疫機能は傷ついた細胞をアポトーシス(プログラムされた細胞死)しようとします。このアルファ粒子の作用によって免疫機能が活性します。
アルファ粒子によって活性する免疫機能
アルファ粒子によって傷ついた細胞のアポトーシスの過程によって炎症抑制の神経伝達物質のトランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)放出をうながします。TGF-βはリュウマチなどの痛みを緩和します。
アルファ粒子によって傷ついた細胞のアポトーシスに連動して細胞を傷つける要因の活性酸素を除去する抗酸化物質(SOD)の活性化させます。
ガシュタイン・ハイルストレン
ガシュタイン・ハイルストレンの公式HP(日本語版)
呼吸の繰り返しはゆっくり間隔をとって行います。例えば、8秒かけて吐いて、4秒かけて吸って、7秒とめてから吐き出すへと繰り返します。
横隔膜は息を吸うときに使う筋肉(吸気筋)です。横隔膜が下がるときに内臓を押し下げて、その圧力によって横隔膜の上にある肺のある胸郭のスペースが広がり、肺に空気が入ってきます。