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日光浴

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2019年10月11日

自然環境が地球の自転による1日を周期として変化するように、人のカラダも1日を周期として活動をしています。この周期のリズムは体内時計(生物時計・整理時計)が作り出しており、太陽の光を浴びることで地球の周期に同期します。
太陽の光を浴びる日光浴をすることが「自然治癒の1日」の始まりに最適です。

1日の始まりに太陽の光を浴びること

カラダの1日の働きは体内時計のリズムで活動しています。体内時計はの1日のリズムを概日リズム(サーカディアンリズム)と言って、24.5時間で刻むことが分かっています。地球の自転24時間との0.5時間の差を調整するのが太陽の光です。光量が2,500ルクス以上の光を浴びることで脳内の視交叉上核の体内時計がリセットされます。太陽光は曇っていても屋外なら1万ルクス程度あるので、1日の始まりに屋外に出て太陽光を浴びると、視交叉上核の体内時計がリセットされます。体内時計がリセットされると自律神経やホルモン分泌が安定します。体内時計のリズムに沿った生活をすることは自然治癒に沿った生活になります。

目覚めと睡眠

脳の松果体から分泌されるメラトニンは脈拍・体温・血圧などを低下させてカラダを睡眠へと導びきます。太陽の光の刺激はメラトニンの分泌を抑えるので、朝のスッキリとした目覚めへとカラダを整えます。また太陽の光は脳の縫線核(ほうせんかく)からセロトニンの分泌をうながします。セロトニンの分泌が増えると大脳辺縁系の活動が安定して、適度にリラックスした状態にしてくれます。日中の生活で発生するストレッサー(ストレス反応を促す外部刺激)によって活性化した大脳辺縁系の活動を緩和させて安定した1日を過ごせるようにしてくれます。セロトニンはメラトニンを合成する原料にもなります。セロトニンが日中に増えることでメラトニンも合成され、起床から約14時間後の睡眠準備へとバトンをつなぎます。

ミトコンドリアを活性化

ミトコンドリアは高い体温が好きです、36.5 – 37℃の温度を好みます。低体温はミトコンドリアを鈍化させ、がん細胞を活性させます。太陽の光はカラダの中から暖かくします。日中に太陽の光を浴びることで暖をカラダに取り込むことができます。

ビタミンDの合成

本来ビタミンとはカラダで合成できない微量栄養素という意味ですが、ビタミンの中には人のカラダで実際には合成されているものがあります。ビタミンDは皮膚に分泌された7-デヒドロコレステロールに紫外線が照射されることで生成されることがわかっています。目安として日中に5分から30分の間、日焼け止めクリームなしで、顔、手足、背中への日光浴で、ビタミンDが生合成されます。
ビタミンDは血液中のカルシウム濃度や免疫機能を安定させる働きがあります。

footnote

地球の自転

地球の自転にかかる時間は約24時間(23時間56分4秒)です。もし人間の体内時計が24.5時間ではなく、24時間丁度だったら調整する必要がなくて楽だったかもしれません。しかし地球の自転速度は少しづつですが遅くなっています。地球が誕生した45億年前は5時間程度だったと言われています。体内時計に調整する機能がなかったら、自然環境の変化についていけずに戸惑っていたことでしょう。

視交叉上核

視交叉上核(しこうさじょうかく)は脳幹に属し、自律機能(交感神経・副交感神経機能及び内分泌機能)の調節を行う視床下部にある領域です。睡眠、覚醒、血圧、体温、ホルモン分泌を制御する1日の周期を生み出しています。1日の周期は時計遺伝子※1と呼ばれる複数の遺伝子のタンパク質の発現の同調によって起こります。片方の遺伝子のタンパク質の合成によって片方の遺伝子がタンパク質の合成の停止を促し、停止を促すタンパク質の合成が止まると、停止していたタンパク質が合成を開始する関係が約12時間交代で切り替わるため約24時間の周期性を作り出します。
視床下部の上部に対である視床※2から光刺激を受けると周期がリセットされます。リセットは光によって昼間の周期のタンパク質の合成の山を調整するので、朝日※3を浴びることが有効です。
※1 時計遺伝子
時計遺伝子は視交叉上核をメインの主時計(マスタークロック)として、その他にもカラダに分散して存在しています。視交叉上核の時計遺伝子は光によりリセットされますが、カラダの時計遺伝子は視交叉上核からの制御以外に摂食(食事)などの刺激によってもリセットされます。カラダに分散されている時計遺伝子は細胞の成長や発達を同調する役割あがあります。
※2 視床
視床は嗅覚を除く「視覚、聴覚、体性感覚(皮膚感覚、深部感覚、内臓感覚)」などの感覚入力を行います。
※3 朝日
日本では季節によって日の出の時間が変わります。季節による日照時間の長さのズレによっ季節の移り変わりを読み取っています。視交叉上核は1日の周期だけでなく1年の周期も作りだしています。

体内時計に沿った生活

人のカラダの器官は1日の周期の中で活性と鎮静を交互に繰り返しています。各器官が勝手に活性化するのではなく、そのタイミングは体内時計に沿ってスケジュール※1されています。そのため体内時計のリセットに関わる日光浴や摂食(食事)、また体内時計の周期に関わる睡眠や起床といった行動もできるだけ体内時計のスケジュールに沿った生活スタイルにすることが大事です。現代の生活環境では難しい面もあると思いますが、カラダの仕組みを知ることで自分にあったココロとカラダにやさしい生活スタイルをデザインしてみることをお勧めします。
※1 体内時計に沿ってスケジュール
体内時計では1日の周期で各器官の活性のタイミングがスケジュールされています。
[ 6時:起床前後 ]
 睡眠から覚醒に切り替わるタイミングです。体温が下がりきっており、血圧の上昇とともに体温も復調してきます。
 自律神経は交感神経と副交感神経を頻繁に切り替えているので、入浴などの自律神経に刺激のあることは避けた方が良いです。
[ 7-9時:覚醒 ]
 自律神経、ホルモンの分泌のタイミングをリセットするために日光浴を行います。
 日光浴によって睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が抑えられ、セロトニンが分泌されます。
[ 9-11時:消化器官の休息 ]
 9-11時は脾臓・膵臓は活性していますが、胃は休んでいるので固形物の摂食には向きません。果物(ジュースにしない)や日本茶、コーヒーなどの水溶性の摂食をお勧めします。
[ 15-18時:行動]
 深部体温が最高に上がります。代謝が高まり脂肪燃焼効率も良く運動をするのに最適な時間帯です。
[ 17-20時:摂食]
 消化器官が活性化している時間帯です。摂食は体内時計のリセットを行います、仕組みにはインスリンが重要な役割を果たしています。インスリンの分泌を休ませるように、摂食時間の前後は絶食時間を作りましょう。また夜遅く摂食するとエネルギー代謝が少ないのでインスリンによって脂肪細胞に蓄えられやすくなります。(反してメラトニンによるインスリン抑制にも影響します)
[ 21-23時:睡眠]
 睡眠は体温の下降とメラトニンの蓄積で起こります。18時頃から血圧は下降し、起床から14時間経過すると2時間程度メラトニンが分泌します(6時に起床するとだいたい20時から22時の間にメラトニンが分泌します)。
 起床から14時間後をターゲットにお風呂や温かい飲み物でカラダを温めて(その後体温が下がり)、ブルーライト(パソコンやスマートフォン)を避けてリラックスすることで睡眠につきやすくなります。
[ 22-2時:成長]
 22-2時頃に成長ホルモンが分泌が活性するので睡眠についていたい時間帯です。

メラトニン

メラトニンは脳の奥深くにある松果体で合成されて分泌されます。合成経路は網膜からの光刺激が低下すると情報が視交叉上核→視床下部→上頸神経節を経て松果体で「トリプトファン→5-ヒドロキシトリプトファン→セロトニン→N-アセチルセロトニン→メラトニン」と酵素反応で生合成されます。また視交叉上核は体内時計としての振動体があり夜間に向けてメラトニンを分泌する経路もあるため一日の光量を一定にしても分泌はおきます。
松果体で合成されたメラトニンは細胞内で貯蔵されずに分泌されて血流に乗り※1体内時計の中枢である視交叉上核が作り出したリズムを他の組織に伝達する役割を果たします※2
メラトニンは松果体以外でも網膜や脊髄、消化管、心臓、腎臓、精巣、卵巣、皮膚、骨髄、リンパ球などにおいても合成されることが報告されています。
※1 血流に乗り
メラトニンは睡眠誘導以外に抗酸化物質であるとも言われています。メラトニンは血液脳関門も容易に通り抜けることが出来るので、カラダ全体に行きわたり、自身が抗酸化作用を持つだけでなく抗酸化に関わる酵素の活性も高めます。
メラトニンはインスリンの分泌を抑える作用もあります。食事の中の糖質が消化されてグルコース(ブドウ糖)になって腸から血中に吸収されて、血糖値が上がると膵臓に存在するランゲルハンス島(膵島)のβ細胞からインスリンが分泌されて脂肪細胞に脂肪として蓄えれれます。しかしメラトニンの存在下ではインスリン分泌が阻害されるので、深夜の食事は2型糖尿病へのリスクを高めます(深夜はエネルギー代謝が落ちることも影響します)。
※2 睡眠へと誘導
一般的に2,500ルクス以上の光量でメラトニンは抑制されると言われており、太陽光(曇りでも屋外では1万ルクス)を浴びることで目覚めへと導かれるわけですが、低い光量でも長時間浴びることでメラトニンの分泌が阻害されます。特に抑制効果が強いのはブルーライトです。睡眠の数時間前にはパソコンやスマフォの使用を止めてリラックできる睡眠への環境を整えましょう。

セロトニン

セロトニンは人体には約10mgが存在しており、腸に約90%※1、血液中に約8%※2、脳に約2%※3存在します。セロトニンは血液脳関門を通らないため脳と腸で生成されたセロトニンはそれぞれで作用し役割が異なります。
脳内のセロトニンは脳幹の縫線核で合成され、大脳皮質、大脳辺縁系、視床下部、脳幹、脊髄などで神経伝達物質として作用します。
セロトニンは太陽光を浴びることで分泌をうながされます。またリズムがある運動をすることでも分泌量が増えます。
※1 腸
セロトニンは腸では消化のための蠕動亢進を活性させるので、分泌量が多いと下痢になり少ないと便秘の原因となります。
※2 血液中
血管を収縮させて、止血する作用があります。出血時に血小板からセロトニンが放出されることで、血管の伸縮を行う筋組織の血管平滑筋が収縮して出血量が減り止血されます。
※3 脳
脳内では生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などの生理機能と、気分障害・統合失調症・薬物依存などの病態に関与しているほか、ドーパミンやノルアドレナリンなどの感情的な情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。
外部から刺激は視覚・聴覚・体性感覚などの感覚入力を視床が大脳皮質(合理的で分析的な思考や言語機能)に中継してから、次に大脳辺縁系の扁桃体(情動反応処理と記憶で主要な役割)で処理して視床下部に伝達します。外部刺激(ストレッサー)がストレスとして認識されると扁桃体がドーパミン、ノルアドレナリンの放出の信号を出して興奮状態になります。セロトニンはドーパミン、ノルアドレナリンが過剰になって暴走しないように調節します。

ミトコンドリア

人の細胞の中にはミトコンドリアが平均300-400個/細胞※1いると言われています。このミトコンドリアも生物です。25億年前にミトコンドリアの祖先である酸素をエネルギー代謝する生物が誕生し、21億年前にミトコンドリアを自分の細胞に取り込んだ生物の出現で共生関係が始まりました。細胞の中でミトコンドリアが酸素を使った効率の良いエネルギー(ATP)の生産を行うことで、多くの生物が地球上で活動できるようになりました。
ミトコンドリアが生成したエネルギーの7割が体温維持に使われ、体温が1℃下がると免疫力が30%下がると言われています。ミトコンドリアも36.5〜37℃の温度※2を好みます。心臓や免疫組織の集中している小腸は温度が高く、ミトコンドリアも活動的であるため癌になりにくい臓器です。
ミトコンドリアを効果的に増やすには、ミトコンドリアが多い細胞組織を増やす※3ことです。増殖しやすい細胞組織は筋肉です。筋肉でも持久力を求められる筋肉の遅筋は酸素の使用量が多いのでミトコンドリアが豊富です※4
※1 ミトコンドリアが平均300-400個/細胞
細胞によってミトコンドリアの数には差があります、活発な活動をする器官である脳や筋肉、肝臓では数千個になります。
※2 温度
体温計で測る「皮膚温」よりカラダの中の「深部体温」の方が温度は高くなります。
※3 ミトコンドリアが多い細胞組織を増やす
NHKで紹介された「ちょいキツ運動」がミトコンドリアを増やすのに効果的です。
※4 筋肉
持久力向けの遅筋と速攻力向けの速筋は筋肉繊維のタイプの違いです。
遅筋はゆっくり伸縮する筋肉で、一定の力を長時間発揮する持久力があります。見た目が赤いので赤筋とも言われますが、これはミオグロビンと言う酸素を蓄えるタンパク質の色によるものです。遅筋には酸素によるエネルギー代謝を行うミトコンドリアが多く存在するために、ミオグロビンも多く存在しています。
速筋はすばやく伸縮する事ができる筋肉で、一瞬の力を発揮する力があります。見た目が白いので白筋とも言われます。

ビタミンD

[ 生成 ]
ビタミンDは皮膚に分泌された7-デヒドロコレステロールに紫外線が照射されることで生成※1されるので、日光浴ではクリームなどをつけずに直接肌をさらす面積が広い方が効果的です。
食品から摂取するビタミンDとの割合は2対1で日光浴で生成する方が多いので、意識的に日光浴をすることが大事です。ビタミンDを摂りすぎると、高カルシウム血症、腎障害などが起こることが知られていますが、紫外線によるビタミンDの産生は体内で調節されるので、紫外線だけで必要以上にビタミンDが作られることはありません。
[ 役割 ]
ビタミンDはカルシウムの吸収に必要なビタミンです。ビタミンDには血液中のカルシウム濃度を一定の濃度に保つ働きがあるので、骨量を保ち骨粗鬆症を防ぐために必要です。
・腸から血中へのカルシウムの吸収を高めます。
・腎臓へ働きカルシウムの血中から尿への移動を抑制します。
・骨から血中へカルシウムの放出を高めます。
ビタミンDは免疫系のマクロファージ、樹状細胞、活性化したT細胞を含む数種類の免疫細胞で、特に抑制機能として活動の調節をしていることがわかってきており、実際にはビタミンDの欠乏はいくつかの自己免疫疾患の発症に関連しています。
※1 生成
皮膚上で紫外線を受けてプロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)がプレビタミンD3((6Z)-タカルシオール)になり、次にビタミンD3(コレカルシフェロール)に転移するには室温では12日間で完了します。その後に肝臓でカルシジオールへと代謝されて肝細胞に貯えられ、必要なときに腎臓にて活性型ビタミンD(カルシトリオール)に変化して利用されます。貯蔵されているビタミンDの半減期は20日から29日です。